続・ドリトル先生。絶妙な日本語訳は井伏鱒二先生の仕事。

こんにちは!

引き続き、ドリトル先生のお話です。

ドリトル先生シリーズの翻訳は、「山椒魚」等の著作で知られる作家の井伏鱒二先生です。

わかりやすい言葉で当時のイギリスの空気感を演出して、飄々としたドリトル先生のキャラクターを描いています。

うまいこと言う!と感心しきりな日本語訳

原作のドリトル先生の物語中に、架空の動物として、「pushmi-pullyu」という生き物が出てきます。これは、体の両方に頭がついている(お尻の方も頭)動物で、常にどちらかの頭が起きているので決して捕まらない伝説の動物というものです。

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この「pushmi-pullyu」ですが、一体日本語でどう訳すのか。

直訳だと「私を押してあなたを引いて」です。現在であれば、イノベーションとかコンプライアンスとかカタカナ言葉が主流ですのでそのまま「プッシュミープルユー」とか言ったりするのでしょうか。

そこで、井伏鱒二先生の訳は、

「pushmi-pullyu」=「オシツオサレツ」

これは、唸りました。

実際は、日本語訳から読んだので、オシツオサレツという名前の方が先でしたが、原書(途中で挫折)を読んだ時、「そのままやんけー」と叫んでしまいました。

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訳者で印象がガラリと変わる

海外文学は、原書で読めればいいのでしょうが、やはり優れた日本語訳というのが優れた作品を支えているのですね。

日本の小説も、英語に翻訳されると日本語での表現の多彩さが、ずいぶんシンプルになってしまい、魅力が失われてしまうような場合もあり、日本と海外での評価が全く違うものもあるといいます。

「我輩は猫である」と「私は猫です」と「俺は猫や」では、ニュアンスがずいぶん違いますもんね。英語だと全部’I am a cat.’になりかねないですね。

また、村上春樹さんは、翻訳されることを意識した文章を書いておられると聞いたことがあります。ノーベル賞を狙ってるからでしょうか。

ドリトル先生、児童文学ですが、大人でも楽しめます。お子さんにはなおオススメです!

大阪府茨木市もみじ動物病院

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